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〈新時代宝箱〉№0011 「視覚障害者として生まれ、生きていて思うこと」 令和元年2019年10月9日(水)

会員 益子 和宏   


こんばんは。
急に気温が下がり涼しくなりましたね。
というか少しばかり気温差の関係でしょうが肌寒く感じます。

さて、障害者として生まれ生きていて思うこと。それは・・・生きていると同時に生かされ守られているんだなってことでしょうか。
もちろん若かりし頃はそんなこと微塵も感じていませんでしたよ。
目が見える人間=無知だとか、見えているくせにどうしてこんなにも見えてねーんだよだとか思ってましたね。
でも色々と経験をさせていただく中で最近上記の結論に行き着いたわけです。
まだまだこれから経験値を上げていく中で考え方や想いが変わっていくこともあるでしょう。でもそれも含めて成長ですしまあそれはいいことなんだと考えるようにしましょう。

障害の有無にかかわらず 人は一人では生きていけません。
いや一人で生きていけると思っている方はどうぞ思っていてください。
僕は視覚障害があるのでその視点でのみとりあえず発信させていただきます。
国の様々な制度があるからこそ生活していける側面はありますし、それは素直にありがたいと思わなければなりませんよね。
日常生活用ぐ給付制度・障害基礎年金・障害者手帳による各種割引などの制度・同行援護制度・ETC。
それら以外にも単独で外出した際には様々な助けを借りて生きていますよね。
駅員さんの誘導警備員さんの誘導、バスやタクシーの方達の案内お店の店員さんの案内などなど。
時には自分の命の時間を削ってサポートしてくれる一般の人々。
そういった方々などにも助けられて 僕らは生きてます。

いっぽうで心ない人もいます。
点字ブロックの上に立っている人、白杖をぶつかって折ってしまっても スルーしていく人、邪魔だと言わんばかりに押し除けていく人などなど。
腹が立ちますよ、人間ですから。
でもね、その腹を立てる時間も体力も「無駄」と感じてきたんですねー。
そりゃあみんながみんな助け合って生きていけたら最高です。理想です。
けれど そう簡単に実現しないからこそ人が追い求める。それが「理想」なのではないでしょうか?

とても親切な人もいらっしゃればそうでない方もいる。
それが人間界の自然の摂理でしょう。
なぜなら?人間には「感情」が そんざいするからです。
点字ブロックをガイドラインん居並ぶ人に腹を立てたり視覚障害者が歩くところだからと訴えるだけではなにも解決しません。そもそも点字ブロックは視覚障害者が安全に歩行できるためのガイドラインであると健常者全てが知っていると仮定することが、視覚障害者の思い上がりです。
メディアが報道しているから法律だからなんて甘ったれも甚だしいですね。
興味がない者には見向きもしないのが人間です。
ましてやそういう人たちに腹を立てたりダメな人だというレッテルを貼ったりしているとそういう人に出会う確率が高くなります。
それはそういう状況に心のアンテナが立ってしまうからです。
±に関わらずアンテナを建てた情報や思考は確実に引き寄せます。
杖を折られる回数が高い人もそういう状況に向かってアンテナが立っているから回数が減らないんですね。
じゃあどうしたら良くなるのでしょうか。

それはいいことをみんなで広めればいいんです。
メディアに踊らされてあいつらの商売に協力する必要なんてないんです。
盲導犬の乗車拒否・入店拒否なんていちいち共有する必要なんてないんですね。
だって単純に親切にされたら嬉しいでしょ?
だったらそういうことを大きな声で発信すればいいんですよ。
それをどんどん拡散していけば乗車拒否・入店拒否は絶対に減るんです。
だって喜ばれることをやりたいと思うのは人間として生きているなら本能的に、潜在的に持っている感情ですから。
悪い方向に大きな声を使うよりいいことに大きな声は使いましょうよ。

ホーム転落事故だってそうです。
視覚障害者にどう声をかけていいかわからないと思っている人はたくさんいます。
そんな人たちに「見てるだけじゃなくて声をなぜかけないのか?」なんて拷問ですよ。
そもそも慣れているところだとか鬱陶しいとかで「大丈夫です」を使うのは誰ですか?
失敗成功いろいろあるでしょうがそれも含めてお互いの経験値。
甘えちゃいましょうよ。
障害者の中で最も少ないと言われている視覚障害者、その中で白杖や盲導犬を使う障害者はさらに少なく、そもそも目が見えない=何もできないイメージは、まだまだ世の中には多いんですよ。
その辺理解したうえで行動しませんか?
バリアフリーやユニバーサルな世の中を作るために必要なことは、制度やそういう施設よりも先に、僕ら障害者が障害者であることを素直に認め、自分たちの心から壁を取り除くところから始めなければならないんだとすごく痛感している今日この頃です。

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