千葉県北西部に 障害福祉情報センター・障害福祉スポーツセンター設置に関する要望書
令和7年12月9日
千葉県 県議会議長 武田 正光 殿 千葉県知事 殿
千葉県北西部に 障害福祉情報センター・障害福祉スポーツセンター設置に関する要望書
- 要望の趣旨
千葉県北西部には、障害福祉に関する総合的な情報提供やスポーツ体験の機会を担う中核的施設が十分に整備されていないのが現状です。我孫子市には「東葛飾障害者相談センター」が設置されており、医学的・心理学的・職能的判定や相談支援を行う専門的機関として重要な役割を果たしています。 しかし同センターは、障害福祉に関する情報発信や地域住民への広範な啓発活動、障害者スポーツの体験・普及といった機能を担うものではありません。
そのため、障害当事者やご家族が情報を得たりスポーツを体験したりするためには、千葉市や東京都、埼玉県まで移動を余儀なくされているのが実情です。県内にはリハビリ施設、職業能力開発施設、情報提供施設、スポーツ施設などが存在しますが、その多くは千葉市周辺に集中しており、北西部地域では福祉インフラの整備が著しく遅れています。
千葉県の人口は約629万人、そのうち約152万人が暮らす東葛飾地域(松戸市、野田市、柏市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市)は、県総人口の約24%を占める都市化の進んだエリアです。しかし、この地域には障害福祉情報センターも障害者スポーツセンターも設置されておらず、県全体で見てもこうした施設は一か所あるかどうかという状況です。
このような現状は、障害のある方々の生活の質(QOL)を著しく損なうものであり、福祉の公平性の観点からも看過できません。千葉県北西部に障害福祉情報センターおよび障害福祉スポーツセンターを設置することは、既存の「東葛飾障害者相談センター」の機能を補完し、地域の福祉向上に直結する重要な施策であり、早急な対応が求められます。
東葛飾地域の概要|東葛飾地域振興事務所より 東葛飾地域は、千葉県の北西部に位置する松戸市、野田市、柏市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市の6市からなる地域で、北は利根川をはさんで茨城県、西は江戸川をはさんで埼玉県・東京都と隣接しています。面積は379.22平方キロメートルで千葉県の総面積の7.4%ほどですが、人口は約152万人で千葉県の総人口の24.2%を占めており、県内でも都市化が進展している地域です。
- 現状と課題
① 情報格差の深刻化
- 視覚・聴覚・肢体・知的・発達障害などの方が必要な情報にアクセスできない状況
- 地域の福祉制度や支援サービスの周知不足
- 情報取得の機会に差があることで、就労の選択肢が狭まり、生産性の向上にも影響を及ぼしている
② スポーツ環境の未整備
- バリアフリーな体育館や運動施設が少ない
- 障害者(児)スポーツ指導者の不足
- 障害者(児)向けスポーツ用具・補助器具の整備不足
③ 地域間格差
- 千葉市や船橋市には類似施設があるが、北西部には未設置
- 人口増加地域であるにもかかわらず、福祉インフラが追いついていない
- 設置の意義
① 情報センターの意義
- 障害者(児)本人・家族・支援者が「必要な時に、必要な情報」を得られる
- 福祉制度、就労支援、医療、教育、相談窓口などを一元的に案内、伴走支援など
- 点字・音声・手話・やさしい日本語など多様な情報提供手段を整備
② スポーツセンターの意義
- 障害者(児)の健康維持・社会参加・仲間づくりを促進
- パラスポーツの普及・競技力向上にも貢献
- 地域住民との交流の場として、共生社会の実現に寄与
- 施設の概要(案)
① 障害福祉情報センター 障害福祉情報センターは、すべての障害のある方々が、安心して必要な情報にアクセスできる未来を目指し、誰にとっても開かれた情報拠点となることを目的としています。 従来の点字図書館が担ってきた「視覚障害者のための情報提供」という役割をさらに広げ、聴覚・肢体・知的・発達・精神など、さまざまな障害のある方々が、それぞれの方法で情報を得られるよう、機能を大幅に強化した施設です。 また、就労支援や地域との交流を促進する観点から、「本屋さん」を併設することで、すべての人々が夢を持って生きるための場となることを目指しています。 障害の有無にかかわらず、誰もが立ち寄り、学び、つながることができる、希望と可能性に満ちた空間を創出します。
主な機能と内容 障害福祉情報提供施設に必要な機能は、障害のある方々が情報にアクセスしやすく、安心して生活できるよう支援するために多岐にわたります。 点字、音声「DAISY(デイジー)」、マルチメディアDAISY(デイジー)、拡大文字、手話動画、やさしい日本語、ピクトグラムなど、利用者のニーズに合わせて提供できる体制を整備することが必要です。
障害者情報提供施設に必要な機能一覧 (ア)意思疎通支援機能
- 手話通訳者・要約筆記者の派遣
- 遠隔手話通訳サービス(オンライン対応)
- 電話リレーサービス(聴覚・発話障害者向け)
(イ)情報・資料提供機能
- 点字図書、拡大図書や録音図書の製作・貸出(視覚障害と読字障害向け)
- 字幕・手話付き映像資料の製作・貸出(聴覚障害者向け)
- 発達障害や視覚障害のある方々が、情報にアクセスしやすくなるよう、文字情報と音声を組み合わせた「マルチメディアDAISY(デイジー)」の制作と貸し出し
- 読書バリアフリーの推進(電子書籍、音声読み上げ対応など)
(ウ)ICT支援機能
- パソコン・タブレットなどのICT機器の貸出
- ICT機器の使い方に関する相談・講習会の開催
- パソコンボランティアの養成・派遣
(エ)相談・支援機能
- 障害者(児)本人や家族への生活・福祉に関する相談対応、および地域の福祉サービスや制度の案内
- 就労・教育・医療など多分野にわたる情報提供と関係機関との連携
- 医療施設、リハビリ施設、特別支援学校・特別支援教室、福祉就労支援などとの適切な連携の強化
(オ)設備・環境整備
- バリアフリー設計(段差解消、車椅子・オストメイト対応トイレなど)と、静かな環境・視覚・聴覚に配慮した案内表示
- 多目的室、相談室、訓練室など、利用者の活動や支援に応じた空間の整備
- 就労支援の一環として「本屋さん」を運営し、地域との交流と働く場を創出
(カ)情報発信・普及啓発
- webサイトやSNSによる情報発信
- 地域住民向けの障害理解促進イベントの開催
- 災害時の障害者向け情報提供体制の整備
(キ)地域連携・ネットワーク構築
- 地域の福祉施設・医療機関・学校との連携
- 障害者団体やボランティアとの協働
- 行政との連携による制度活用支援
② 障害福祉スポーツセンター 障害のある方々が、安心して運動・交流・学びを楽しめる場として、誰もが気軽に利用できる福祉スポーツセンターの設置を強く要望いたします。
心身の健康づくりと地域共生の拠点として、バリアフリーかつ多機能な施設の整備が求められます。
主な内容と機能 本センターは、障害のある方々が安心して運動・交流・学習等に参加できる場として、バリアフリー設計を徹底し、体育館、研修室、交流スペースなどを備えます。 多様なニーズに応える福祉機器の導入や専門スタッフの配置により、心身の健康増進と地域共生を推進する拠点となります。
障害福祉スポーツ施設に必要な機能一覧
(ア)基本的な施設機能
- 多目的体育館:車いす対応のバスケットボール、バレーボール、ボッチャ等に対応
- 屋内と屋外にランニングロード:障害特性に応じた工夫で、一人でも安心して走れる設計。
- 温水プール:昇降機付きで、肢体不自由者も安心して利用可能
- トレーニング室:障害特性に応じた機器を設置し、健康増進を支援
- サウンドテーブルテニス室:視覚障害者向けの専用設備
- 多目的室・会議室:交流、研修、イベント開催に活用
(イ)利用支援サービス
- 移動支援・同行援護・行動援護:通所時の安全確保と心理的安心を提供
- 放課後等デイサービス:障害児の運動習慣形成と社会性育成を支援
- 生活介護・機能訓練:日常生活能力の維持・向上を目的とした支援
- 個別支援計画の作成:利用者一人ひとりに合わせた支援内容を設計
(ウ)スポーツ振興と共生社会の推進
- 障害者スポーツ教室の開催:初心者から競技志向まで幅広く対応
- 地域大会・交流イベント:障害の有無を超えた共生の場を創出
- 指導者養成・用具開発:専門性の高い人材育成と環境整備
- 健常者との合同プログラム:共に楽しむスポーツを通じた理解促進
(エ)地域福祉拠点としての役割
- 障害者(児)・高齢者・子ども・地域住民の交流促進
- 地域包括ケアとの連携:医療・福祉・教育機関との協働体制
- 災害時の福祉避難所機能:バリアフリー設計による安全な避難場所
(オ)DX・ICTの活用
- オンライン教室・遠隔支援:移動が困難な方々へのサービス提供
- 利用者管理・支援計画のデジタル化:効率的な運営と支援の質向上
- 移動型バスによるICT支援、研修・リハビリ指導の実施、地域を巡回する移動型バスを活用し、ICT機器の活用支援、職員向け研修、利用者へのリハビリ運動指導などを直接的に提供
- 設置希望地
千葉県北西部の中心に位置し、交通アクセスに優れた以下の地域を候補地として提案します。
- 流山市(つくばエクスプレス沿線)
- 柏市(JR常磐線・東武野田線沿線)
- 廃校となった学校などの既存施設を活用しつつ、利用者や地域住民の移動手段や利便性にも配慮したうえで、地域にとって最も適した場所への設置
また、本施設の運営にあたっては、複数の自治体による連携体制の構築を視野に入れるとともに、障害当事者が主体的に関わる運営体制の確立を目指します。さらに、地域の民間事業者との協働も積極的に検討し、多様な立場の知見と力を結集することで、持続可能で開かれた拠点づくりを推進していきます。
- 期待される効果
障害福祉情報センターおよび障害福祉スポーツセンターの設置は、単なる施設整備にとどまらず、千葉県北西部の福祉力と地域力を飛躍的に高める「未来への投資」であり、以下のような多面的な効果が期待されます。
① 障害者(児)の生活の質(QOL)の向上 (ア) 必要な情報に迅速かつ確実にアクセスできる環境が整うことで、日常生活の安心感が高まり、自己決定と自己実現の機会が広がります。 (イ) 医療・教育・就労・相談などの支援が一元的に受けられることで、複雑な制度の壁を乗り越え、スムーズな支援の流れが生まれます。 (ウ) 静かな空間、やさしい案内、理解あるスタッフの存在が、発達障害や精神障害のある方々にとっても「安心して過ごせる場所」となり、心の安定と成長を支えます。
② 地域福祉の充実と支援者の育成 (ア) 情報ボランティアやスポーツ指導者の養成講座を通じて、地域の支援力が底上げされ、福祉人材の裾野が広がります。 (イ) 地域の福祉団体や当事者団体との協働により、現場の声が政策に反映され、より実効性のある福祉施策が展開されます。 (ウ) ICT活用による遠隔支援やオンライン講座の実施により、移動が困難な方々への支援も可能となり、地域全体の包摂力が高まります。
③ 障害者(児)スポーツの普及と競技力向上 (ア) 初心者から競技志向まで幅広く対応するスポーツ教室の開催により、運動習慣の形成と競技力の向上が図られます。 (イ) 専門スタッフの配置と用具の整備により、障害特性に応じた安全で効果的なトレーニングが可能となります。 (ウ) 地域大会や交流イベントを通じて、障害の有無を超えたスポーツの楽しさと感動が共有され、共生社会の実現に寄与します。
④ 地域住民との交流促進による共生社会の実現 (ア) 情報センターに併設される「本屋さん」や交流スペースが、障害の有無を問わず誰もが立ち寄れる場となり、自然な交流が生まれます。 (イ) 障害のある子どもが地域の友達と一緒にスポーツを楽しめる環境が整い、共に育ち合う地域文化が醸成されます。 (ウ) 高齢者・子ども・障害者・地域住民が交わる場として、世代や背景を超えたつながりが育まれ、地域の信頼と誇りが深まります。
⑤ 教育・就労・災害対応など多分野への波及効果 (ア) 特別支援学校との連携により、授業だけでは届かない社会との接点が生まれ、子どもたちの可能性が広がります。 (イ) 就労支援機関との協働により、障害のある方々が地域の中で働き、活躍できる環境が整い、経済的自立と社会参加が促進されます。 (ウ) 災害時にはバリアフリー設計を活かした福祉避難所として機能し、地域の安全と安心を支える拠点となります。
これらの効果は、障害のある方々の暮らしを支えるだけでなく、地域全体の福祉力・教育力・防災力・経済力を高め、千葉県北西部を「誰もが安心して暮らせる、笑顔でつながれる地域社会」へと導く原動力となります。
7地域の声(抜粋) 「必要な情報がどこにあるのか分からず、支援を受けるまでに時間がかかってしまう」 「千葉市まで行かないと点字図書や手話動画が手に入らない。もっと近くにあれば助かる」 「子どもにスポーツをさせたいけど、障害児向けの施設が近くにない」 「子どもが自転車に乗る練習は、障害があることで難しかった。けれど、補助輪が外れた瞬間の親の喜びは、何にも代えがたい宝物だった。」 「安心して通える運動施設があれば、もっと外に出る機会が増えると思う」 「障害があっても、地域の中で笑顔で暮らしたい。情報も交流ももっと身近にあってほしい」 「就労支援の情報が届かず、働くチャンスを逃してしまった」 「障害者スポーツの大会に出たいけど、練習できる場所が遠すぎる」 「視覚障害があると、ネットの情報だけでは不十分。音声、点字やテキストデーターなどの案内が必要」 「障害のある子どもが地域の友達と一緒にスポーツを楽しめる場所がほしい」 「音訳・点訳・テキスト作成などの情報ボランティアに関心があり、養成講座を受講したいと願っていますが、近隣では開催されておらず、参加が叶わない状況です。」 「災害時に避難できるバリアフリー施設が近くにないのが不安」
— 地元障害者・家族・支援者の声より
- 要望事項(千葉県への提案)
千葉県に対し、障害福祉のさらなる充実と地域との連携強化を図るため、以下の事項について要望いたします。
- 障害福祉情報センター並びに障害福祉スポーツセンターの設置
障害当事者や支援者が必要な情報・相談・交流・活動の場を得られるよう、情報発信とスポーツ振興を担う専門施設の設置を求めます。
- 設置に向けた調査・検討の開始
県内のニーズや既存資源を踏まえ、設置の可能性・効果・課題についての具体的な調査と検討を早期に開始してください。
- 既存施設の実態把握と連携・利用状況の調査、ならびに今後の改革の検討
県内にある障害福祉関連施設の運営状況、利用者の声、地域との連携の実態を調査し、必要に応じた改善・再編・機能強化を検討してください。
- 地域福祉団体との協議体の設置
施設の設置・運営にあたり、地域で活動する福祉団体や当事者団体との継続的な対話の場を設け、現場の声を政策に反映させてください。
- 施設運営に地域の視点と協力を取り入れ、透明性・支援の質・信頼性の向上を図ること
施設が地域に根ざし、誰もが安心して利用できる場となるよう、運営に市民参加・情報公開・質の高い支援体制を確保してください。
最後に
私たちは、障害のある人もない人も、誰もが安心して暮らし、笑顔でつながれる地域社会の実現を心から願っています。
千葉県北西部に障害福祉情報センターと障害福祉スポーツセンターを整備することは、単なる施設の建設ではありません。これは、情報への公平なアクセス、運動や交流の機会の創出、そして地域全体の福祉力を高める「未来への投資」であり、誰もが自分らしく生きるための「社会の器」を整える取り組みです。
本施設は、特別支援学校との連携を通じて、教育現場と地域資源をつなぎ、子どもたちの可能性を広げる場となります。 授業だけでは届かない社会との接点を、情報センターやスポーツセンターが担うことで、子どもたちの学びと成長を地域全体で支える体制が築かれます。
また、就労支援機関との協働により、障害のある方々が地域の中で働き、活躍できる環境を整え、真の共生社会の実現に寄与します。 情報センターに併設される「本屋さん」は、単なる販売スペースではなく、働く場であり、地域との交流の場であり、夢を語り合える場です。ここから生まれる雇用とつながりは、地域の活力そのものです。
さらに、発達障害など発達に課題を抱える子どもたちにとっても、この施設は「安心して過ごせる場所」であり、「自分らしく成長できる場」となります。 静かな空間、わかりやすい案内、優しい言葉、そして理解あるスタッフの存在が、彼らの心に寄り添い、未来への歩みを力強く支えます。 彼らが地域の中で希望を持ち、友達と笑い合いながら成長していく姿は、地域の誇りとなるでしょう。
この要望は、福祉の充実だけでなく、地域の活力と信頼を育むための提案です。 人口増加と都市化が進む千葉県北西部において、障害福祉の拠点整備は、今まさに求められている施策です。 皆様におかれましては、ぜひこの声に真摯に耳を傾けていただき、千葉県の未来をより包摂的で優しいものへと導くために、前向きなご検討とご尽力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
以上
流山市障害者団体連絡協議会 流山市身体障害者福祉会 会長 小西 茂雄 流山市手をつなぐ親の会 会長 熊木 晴美 流山よつば会 心の泉会 発達障害者家族会 ひまわりの会 流山地域で生きる会 流山市自閉症協会 会長 中村 美加 流山市デフ協会 会長 小野寺 夏樹 流山市視覚障害者協会 会長 染谷 雄一
